祥 石田
屋根材のスレートの種類と材質は?寿命・メンテナンス時期の違いも解説
屋根に使用するスレートの種類を知りたいと思っていませんか。スレートは屋根材として頻繁に用いられていますが、詳細をよく知らない人も多いでしょう。この記事ではスレートの種類について詳しくまとめました。屋根にどの種類のスレートを使うのがベストなのか、スレートの種類は選べるのかといった悩みは、スレートについて理解すれば解決できます。スレートの種類や材質による寿命の長さやメンテナンス時期についても解説するので、より良い屋根材を選定してみましょう。
スレート屋根とは
スレート屋根はヨーロッパ地方で古くから用いられてきたスレートを材料として使用している屋根です。日本では伝統的な瓦屋根の次に多いのがスレート屋根で、最近の建築ではスレート屋根が一般的になっています。スレート屋根は耐候性、耐久性に優れているのが特徴で、デザイン性も高いことから人気があります。
スレート屋根はヨーロッパでは天然スレートと呼ばれる天然の石を使用する屋根が一般的です。しかし、原材料の価格高騰の影響を受けて、人工的に製造された化粧スレートが屋根材としてよく用いられるようになっています。
スレート屋根の材質の種類
スレート屋根の材質は天然スレートと化粧スレートで大きく違います。また、スレート屋根の材料についてしばしば話題になる石綿(アスベスト)を用いている場合もあるので注意が必要です。ここではスレート屋根の材質の種類と違いを解説します。
天然スレート
天然スレートは粘板岩と呼ばれる天然の石で作られています。天然スレートは泥岩や頁岩などの堆積岩から生まれたはがれやすい性質を持つ石材で、ヨーロッパだけでなく日本でも硯や砥石の材料として用いられてきました。密度が高くて非常に重いのが屋根材としては問題点ですが、耐久性も加工性も高いので有用な建材です。
化粧スレート
化粧スレートは「スレートのような素材」という意味合いで、人造スレートや人工スレートと呼ばれるときもあります。化粧スレートはセメントが主成分で、海外では天然スレートとは区別されてセメントボードなどと呼ばれています。
日本では天然スレートの代替品として化粧スレートがよく用いられるようになりました。天然スレートに比べて軽量で割れにくい性質があり、希少な粘板岩を調達せずとも容易に材料の確保ができるからです。費用面でも天然スレートに比べると安いため、1990年代から活発に利用されるようになっています。
石綿スレート
石綿スレートは化粧スレートの一種で、セメントに石綿(アスベスト)を混ぜているのが特徴です。セメントに石綿を混ぜることで天然スレートに近い耐久性や耐候性を実現できるため、開発当初は石綿スレートが急速に広まりました。
しかし、アスベストは健康被害につながることが明らかになり、2004年に規制が開始された後、2006年に全面的に使用禁止になっています。現在では日本で石綿スレートは製造・販売・輸入・使用が全面的に禁止されているので新築をするときや屋根の葺き替えをするときには気にする必要はありません。
なお、アスベストの規制開始前からアスベストフリーのスレート開発が進められ、第二世代と言われるノンアス(ノンアスベスト)スレートが使われるようになっています。近年では第三世代の改良型ノンアスが主流になって品質が向上しました。天然スレートに近い性質の化粧スレートを生み出すための開発は継続的に進められていて、品質が向上してきているのが現状です。
スレート屋根の形状による種類
屋根材に使用されるスレートは加工方法によってさまざまな形状の屋根に仕上げることが可能です。スレート屋根の種類は屋根の形状で分類することができます。主要な3種類のスレートについて特徴を見ていきましょう。
平板スレート
平板スレートは住宅で最もよく用いられているスレート屋根材です。スレートを薄く平らな形に加工したスレートで、薄板スレートや薄型スレートと呼ばれることもあります。コロニアル、カラーベスト、パミールなどの製品ブランドが代表的です。業者によっては平板スレートとは言わずに、取り扱っている製品ブランドで呼ぶことも多いくらいに汎用されている屋根材です。
波型スレート
波型スレートは平面が波打つ形で加工してあるスレート屋根材です。工場や倉庫、体育館などの大きな建物で使用することが多く、雨や雪のはけが良くなるメリットがあります。屋根材の全体的な厚みは平板スレートに比べて厚くなり、総重量も重くなります。木造住宅では耐荷重量が問題になるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の大きな建物の屋根で使用されるのが一般的です。
厚型スレート
厚型スレートは瓦を模した形状に成形したスレート屋根材です。瓦と同じデザインに仕上げるための工夫として厚さを確保して加工したのが特徴です。型にセメントを流し込んでプレスして製造することから、プレスセメント瓦とも言われています。厚型スレートは仕上がりが美しいことに加えて、平板スレートの上に重ね葺きができる点でも魅力があります。
ただ、厚型スレートは重量が重くて施工できる範囲に限界があるため、だんだんと市場撤退が進んできました。樹脂を混合して軽量化の工夫をした樹脂繊維混入軽量セメント瓦の開発は進められていて、機能性も耐久性も優れている厚型スレートの屋根材が生み出されてきている段階にあるのが現状です。
スレート屋根の寿命・耐用年数
スレート屋根は種類によって寿命(耐用年数)に違いがあります。石綿スレートが用いられていたのは耐久性が高くて寿命が長いと想定されていたからです。規制開始以前に建てられた住宅では石綿スレートが使われていることが多く、今でも屋根がきれいな状態であれば石綿スレートの可能性があります。それ以後の施工であればスレート屋根の寿命の目安を種類ごとにまとめると以下のようになります。
種類 | 寿命(耐用年数) |
天然スレート | 30年~50年 |
改良型ノンアス | 20年~30年 |
ノンアス | 10年程度 |
厚型スレート(ノンアス) | 10年程度 |
厚型スレート(改良型ノンアス) | 30年~40年 |
天然スレートに比べると化粧スレートの寿命は短めです。ただ、改良型ノンアスの登場によって天然スレートと同程度の耐久性がある製品も生まれてきました。改良型ノンアスは開発されてから年月が浅いので天然スレートと同じくらいの耐用性を持つかははっきりとしていませんが、第二世代のノンアスに比べて耐久性が高いことはわかっています。第三世代の改良型ノンアスなら長く使っていけるでしょう。
スレート屋根のメンテナンス時期
スレート屋根にするとどのくらいの頻度でメンテナンスをする必要があるのかが気になるでしょう。スレートの種類によって違いはありますが、5年程度を目安に点検をして、10年~15年を目安に屋根リフォームをするのが理想的です。
定期的に点検してもらうと安心ですが、屋根の状態を目視して必要時にメンテナンスを依頼することもできます。ここではメンテナンスが必要な時期を見極めるポイントを紹介します。
色褪せや塗装の剥がれ
屋根の色や状態を目視で確認して、当初よりもはっきりとわかる色褪せがあるときや、塗装の剥がれが見受けらえるときはメンテナンス時期です。塗料の変質や塗膜の不具合が発生している状況になっています。屋根塗装をすればきれいにできるので、気づいた時点で対応しましょう。
コケや藻の発生
屋根にコケや藻が発生していたらメンテナンスが必要です。色褪せによる色合いの変化はゆっくりとしているので気づきにくいですが、コケや藻は目でみてわかりやすいでしょう。コケや藻の発生は主に屋根塗料の劣化が原因になっています。放置していると状況が深刻になりがちです。屋根塗装をすれば改善できるので、早めに業者に屋根塗装を依頼しましょう。
屋根材の反りや割れ
スレートを目視で確認したときに反りや割れなどが確認されたら早急にメンテナンスをしましょう。屋根材自体の劣化や物理的な傷で、屋根が持つべき本来の機能が失われているリスクがあります。特に第二世代のノンアスの化粧スレートは劣化が早く、反りのような見た目でわかる劣化が見えてくることがよくあります。葺き替えか重ね葺きの屋根リフォームを施工しましょう。
棟の釘浮きやサビ
屋根素材の本体ではなく棟の釘浮きやサビが見られたときにもメンテナンスが必要です。改良型ノンアスの場合には寿命が長くなったので棟の方が先に寿命になってしまう可能性があります。棟を固定している釘が浮いてきた、棟自体がサビてきたといったときには、早めに業者にリフォームを相談しましょう。早めに気づくことができれば施工スケジュールを落ち着いて調整できます。
自然災害・人災
スレート屋根を使用しているときには自然災害や人災などの被害を受けたときに状態を確認してメンテナンスを検討しましょう。台風が直撃した影響でスレート屋根の不具合が発生することもあります。
地震や津波、雹や雪などの自然災害もリスク要因です。また、屋根に石などを投げつけられた、隣家が火事になった火の粉を浴びたといったときにもスレート屋根が破損するリスクがあります。自然災害や人災があったときには点検をしてメンテナンスの必要性を確認するのがおすすめです。
まとめ
日本ではスレート屋根が標準的になってきています。屋根の修理や葺き替えをするときにはスレートにすることも考えてみましょう。スレート屋根は改良型ノンアスが使えるようになって寿命が長くなりました。デザイン性も高いのでおすすめの屋根材です。
スレート屋根が当たり前になってきたため、住宅街では周囲との調和性を考える上でもスレートを使用するのがおすすめです。秋元ハウジングではスレート屋根の施工を承っていますので、屋根リフォームをお考えの際にはぜひご相談ください。